彼と彼女のノスタルジア

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ノスタルジア【nostalgia】
郷愁。異郷にいて、故郷を懐かしむ気持ち。
また、過ぎ去った時代を懐かしむ気持ち。


『お元気ですか…』

遠く離れて働く姉―理乃子からの手紙が届いた。
季節毎に届く定期便り。
内容はいつも些細なことだった。

でも、僕から返事を出したことは一度もなかった。
僕はいつも不器用な生き方しか出来ない姉を嫌っていた。
だから理乃子のことを姉とは思っていなかった。

手紙はいつも同じ一言で結ばれていた。
「一度きりの人生です。
くれぐれも後悔のないように生きてくださいね」


そしてそれが彼女からの最後の言葉となった。
2日前に交通事故で死んだ彼女からの手紙。


封筒の中には一枚のポストカードが入っていた。
そこに写っていたのは、広い道路と鮮やかな緑が印象的な田舎の風景。



それは、僕の住む街に本格的な冬がやってこようとしていた寒い日の出来事。

”展望台より村全景を望む”


そして僕は、

その色鮮やかなポストカードに導かれるように、

その村を訪れる―
 

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